人類の歴史の中で、ゴールドは様々な目的から人々に愛され続けた貴金属です。古代から貨幣、資産の蓄積手段、飾り物や芸術品などとして使用されてきました。
歴史上最も有名だと思われるゴールド製の飾り物のは、ツタンカーメン王の黄金のマスクでしょう。これは紀元前1300年代に作られたものとされています。
エジプトはゴールドとかかわりの深い国です。ファラオの時代から「ゴールドは高価で尊いものである」として珍重してきました。珍重するあまり、太陽象徴として、宗教的な財物として利用されて、当時の権力の象徴で、神が王に遣わしたものだとして一般市民が金のかけらを持つことさえ禁じました。国民はたとえわずかでも、全てファラオに差し出すものと決められていたのです。
中世ヨーロッパでも、ゴールドは王の権威である王冠や、側近など高位な者の装飾品に多く利用されていました。シルバーもたくさん利用されていましたが、ゴールドはシルバーの10倍以上の価値があるとして、とても重宝されていました。その時代では、ゴールドはいつでも不足していて、希少性の高い金属です。そこで、中世ヨーロッパでは卑金属を人工的手段によりゴールドに転換する術の研究が盛んに行われました。これが有名な錬金術というものです。残念ながら、ゴールドを作り出す事はできませんでした。17世紀近代科学の成立とともに、錬金術は急速に衰えました。
1848年に米国・カリフォルニアで金鉱が見つかり、ゴールドが本格的に採取され始めました。その約40年後に南アフリカで世界最大の金脈が発見されてからです。1900年代からゴールドの売買がとても盛んになり始め、その市場価値の移り変わりがとても激しいものとなりました。1980年には史上最高額で取引されましたが、それ以降さまざまな経済的下落により、ゴールドの価値も下がり始めました。現在アクセサリー等によく使用されていて、その輝きは将来にわたっても私たちの心を魅了し続けるでしょう。